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証言 連合赤軍(9) 四十周年 殉難者追悼の会

連合赤軍事件から四十年たちました。遠い昔のことなのに、いまもありありと当時のことが脳裏に刻まれているのは、なぜなのでしょうか。
9号では、2月25日に開催された「殉難者追悼の会」での全発言を収録しました。
─2012年4月20日発行

目次

時代の転換点で起きた事件、しっかり捉え返したい──植垣康博……6
優しい物腰の中にも凛としていた大槻節子さん──池上 仁……7
吉野君と金子みちよさんのご両親のことなど──大泉康雄……12
救援連絡センター43年間の記録──山中幸男……14
映画を見るまで封印していた連合赤軍──西浦隆男……17
責任を取らなかった革命左派の指導者──佐藤 保……20
赤軍兵士の健康な家族──関 直美……23
赤軍兵士の息子として──関 風人……24
連赤後も続いた内ゲバと、浅間山荘の三人の犠牲者──雪野建作……25
小菅拘置所で知った連合赤軍事件──尾崎康夫……29
12人・森君・永田さんと、私の責任について思うこと──塩見孝也……31
異様だが異常ではない事件 その内在的な批判を──三上 治……35
右翼民族派の中でも同じようなことがあった──鈴木邦男……40
これはすごい物語だ、と描きはじめた「レッド」──山本直樹……43
シナリオを書いていて思ったこと──掛川正幸……45
「進藤の名誉のために」、「尊敬の念で送ってあげてください」──馬込伸吾……47
連合赤軍殉教者追悼の会へ──重信房子……50
一人一人の夢、理想、思いに胸をはせて、追悼を──金 廣志……52

浅間山荘の三人の犠牲者──雪野建作

 実は、あの闘争(浅間山荘)の中ではほかにも犠牲者がいます。田中さんと殉職した2名の警察官です。
 田中さんは、恐らくあの犠牲者の中で一番不当な扱いをされている方だと思います。彼自身については、いろいろな事件に関わってきたという話はありますけれども、少なくともあのときに関しては義憤に燃えて、身を犠牲にしてあの場に入り込んで、しかも一度は警察に規制されながらも、またもう一度行って、「赤軍さん、赤軍さん」と言っているわけですね。それは本当に無私だったし、彼なりに何とかあの場をいい方向に持っていこうという形で取った行動だったと思います。そういう意味で、あの一連の死者の中で彼は一番正しいことを行って亡くなった犠牲者だと思っております。彼の死に対しては、連合赤軍事件の死者に比べてもあまり問題にされないというのは、これは不当なことだと思います。
 あと、二人の死ですけれども、これも非常に残念なことではあります。当時、赤軍派の方では戦争をやるつもりで行ったわけで、戦争というのは、別に相手が憎くてやるわけでもないし、相手を殺したくて戦闘するわけでもないわけですね。ですから、日米戦争においても、かつて硫黄島ですとか、そういった激戦地で戦った日米の兵士が、何十年を隔てて再会して和やかに話をするといった記事がひところはよく目につきましたけれども、そういう意味で、私は、当時の連合赤軍の意識としては戦闘であると、その中での相手に対する攻撃であるということで、ただ、私はその前提を認めているわけではないんですけれども、そういう意味で、戦死者に対する敬意ですね、それは恐らく持っていてしかるべきと思いますし、私どももそういった形で遇したいと思います。
……略……
 なお、今の見解は、私個人の見解です。この集会ですとか私どもの会の見解ということではないので、メディアの方などが引用する場合には、その前提を十分分かる形でしていただきたいと思います。

進藤さんのお連れ合いのAさんの話──馬込伸吾

 進藤さんに関してなんですが、進藤さんのお連れ合いであるAさんと最終的に3回電話でお話しさせていただくことがありまして、その折で進藤さんに関する証言と、当時、そのAさんがどのような思いでいたかをお聞きすることができました。
……略……
 Aさんが坂東隊に入るに当たり、赤軍派に入るに当たり、森さんと坂東さんの前で行った決意表明がありました。その内容を話してくれました。……
──「すべての人々が飢えることなく、すべての子供たちが学べる社会にするため邁進します」と、森と坂東の前でこう言いました。一字一句覚えています。今でも変わらず、この言葉は棺おけの中まで持っていくつもりです。
 坂東隊で共同生活を送っていたころ、山崎にこう聞いたことがあります。「私たち、こういう生活をいつまで続けなきゃいけないのかな。」山崎はこう答えました。「我々が前衛となって市民大衆を引っ張っていかなければならない、だから一緒にやっていこう」、そう言われたことを明確に覚えています。私の知っている山崎は、純粋でピュアでした。それは進藤も同じです。